去年10月、今のマンションに引っ越して以来、何ヶ月にも渡ってスズメとベランダの取り合いで戦ってきた。
約8ヶ月。
長い長い戦いだった。
日の出と共にやってくるため、冬は7時前後からチュンチュン騒がしくなっていたが、春頃になり日の出も早くなると5時半頃からチュンチュン始まって。
もうこれがノイローゼになりそうなくらいやかましくて。
不眠症と過眠症の治療と対策を試行錯誤していたから、途中で起こされることの不快とストレス。
スズメをぶち殺したくなるくらいには何度も殺意芽生えた。
鳩やカラスの害鳥対策はネットでググると結構でてくるのに、スズメって意外と無くて。
それでも使えそうな対策は色々考えた。
最初は人間の存在を知らしめていれば諦めるかと、日中レースカーテンも開けて人の気配をわざとさせてみたり、明け方〜午前中のチュンチュン攻撃にはベランダのガラスを叩いてわざと大きな音で脅かしてみたり。
カラスの人形も買って、ベランダにぶら下げみたりもしたが、全然効果はなく。
カラスの人形のすぐ横にスズメがとまっていたのを見て、だめだこりゃと捨てた。
このスズメ、なんでこんなにも私の部屋のベランダに固執しているのだろうか。
私も諦めないけれど、スズメも結構な頑固だな。
声だけなら100歩譲っても、ベランダが木屑とスズメの羽と糞でめちゃくちゃ汚い。
どちらも合わせると我慢ならない。
洗濯物が干せないのは死活問題。
明け方のチュンチュンは、とりあえず耳栓で対処。
耳に何か入っている状態とか気持ち悪くて最初は慣れなかったけれど、眠気には敵わん。
あとは日中〜夕方にかけてやってくるチュン子とチュン太たちをどうしたものか。
対策に悩んでいた時、同じフロアの住人から聞いた話で、なぜうちのベランダにスズメたちが執着しているのかの謎が解けた。
私の前の住人がスズメに餌をあげて、巣作りから子供まで産ませて雛を育てていたという事実が判明。
これまでのスズメたちの執着の全てが納得。
巣立ったヒナがまたうちのベランダで今年も巣作りしようという習性?本能?で戻ってきていたのかもしれないと思うと納得いく。
こうなったら、とことん戦うしかない。
全面戦争じゃあ!!!
こうなったら完全にうちの中に入れないようにしてやる。
左右隣の壁とベランダの手すりと、コの字型に網で囲う作戦。
高所恐怖症なのにベランダで踏み台乗って手すりに足乗せて、天井ギリギリの場所にフックと結束バンドを使って網で囲ってみた。
うわぁ。
私がカゴの中の鳥になったような気分。
しっかりばっちりとまではいかないけれど、長さと重みで所々2〜3cmくらいのたわみもあったけど、まあこれだけ大掛かりにネット張っていれば警戒して近寄らないでしょうと。
ネットを張ってから間も無く、再びチュンチュン声が聞こえた。
来たな。
ぱっとベランダを静かにのぞくと、スズメが隣人のベランダとの境にあるBSアンテナの上にとまってこちらを見ていた。
スズメ、めっちゃガン見してるやんけ。
しかも首かしげた!!
なんじゃこのネットってか?
そうだよ、お前さんが入ってこれないようにネット張ったんじゃと心でつぶやく。
スズメってこんなに感情あるのか。
意外と賢い生き物なんだな。
日向ぼっこするなら、うちのベランダの前にとまって空の方を向くだろうに。
なぜかうちのベランダの部屋の中の方を見てとまって眺めている。
ご飯くれって前の住人と勘違いされているのか?
作りかけの巣(家)に入りたいのに、なんだこの網はって不思議がっているのか?
怖いくらい、めちゃくちゃ目が合う。
何かを訴えかけている表情をしている。
マジでごめん、ごめんだよ。
君たちが悪いわけじゃないんだよ。
動物アレルギー持ちだし、フンや羽から衛生面を考えると私には野鳥と共存は無理なんだよ。
野生の動物の純粋さというか、本能というか、よく野生の熊とかの問題できちんと食べたものやゴミは持ち帰りましょうって、じゃないと味を知るとお互いに命の危険に繋がるからって熊と里山問題でもよく言われているけど、命の危険はなくとも鳥だって同じ。
ましてや自分の買った家じゃないのにマンションで餌付けとか言語道断。
自分が引っ越した後のことも考えろやだよ。
引っ越してきた当初からマンションの掲示板に鳥に餌やるなという警告の張り紙がされていたから、前の住人はバレて気まずくなって出ていったのか?
にしても無責任すぎる。
餌付けされたスズメもかわいそうに。
ベランダ三面にコの字型にネットを張ってから、しばらくはすぐ隣のベランダから覗いて様子を見ている感じだったので、これでもう諦めてくれるはずと成功を確信した。
ところが、ネットを張ってから3日も経たないうちに、なぜかネットの内側にスズメが入ってきた。
え?
どこから入ってきた?!
ネットを張ったベランダの内側に入ってきたスズメを追い出そうと私も必死でベランダのガラス戸をバンバン叩いてわざと音を出す。
するとパニックになったスズメがベランダで暴れている。
ひえぇぇぇ。
ベランダで死なれたら困る。
ネットが一面に張られているからスズメも出口がわからなくてパニック。
こちらもどこを入り口にして入り込んできたのがわからない。
びっくり。
本当に諦めが悪いスズメめ。
いや、向こうも諦めの悪い人間めって思っているかも。
ネット張り巡らせたベランダの内側で暴れ回るスズメと、追い出そうと必死に窓ガラスを叩いて脅す人間のカオス。
懲りずに1日で3回侵入してくる日もあった。
一体どこの隙間から入り込んでくるのかすら謎。
スズメ、いくら体が小さいとはいえ歩いて入ってくるわけもないだろうし。
飛び入るわけだから、それなりの隙間がないと入れないよなぁ。
たわんだネットの2〜3cmの隙間ですら入れちゃうのか?!
どんな穴でも入ってくるネズミレベルにすごいな。
なんて関心している場合じゃない。
諦めの悪い理由を探さねば。
どうやらうちのベランダのエアコンの室外機の裏が枯れ枝や羽やフンでめちゃくちゃ汚れていたので、おそらくそのすぐ上で休んでて、巣作りをしていたのだろうと推測。
作りかけの巣があるから諦められないのかも。
私の部屋のベランダにだけ、なぜかガラス戸の真上に変な筒状の身を隠せる出っぱりがある。
その中に枯れ葉や枝がいっぱい詰まっていたので、応急的に片側だけガムテープで塞いでみた。
すると今度は反対側から入ろうとしているのか、枯れ枝が散乱していた。
ならばこちらも塞ぐ。
左右どちらからも入れないように穴を塞いだ。
ベランダの天井にもやけくその応急処置だけど、ガムテープでネットのたわみがなくなるように止めまくった。
1週間で10回くらい奴がネットの内側に侵入してきては、私もガラス戸をわざと叩いて脅すという攻防戦が続いた。
隙間という隙間を塞ぎ、巣作りも諦めさせるために隠れ家にも入れないようガムテ貼り。
もうこれ以上の作戦は思いつかないくらいまでやりきった。
するとある日、夢の中でもスズメと戦っている自分が出てきた。
私がベランダでスズメをボコボコにして殺している夢だった。
勝った!とうとう勝ったぞと達成感満たしているなんとも複雑な夢だった。
スズメに恨みはないし、殺したいほど憎んでいたわけじゃない。
悪いのは餌付けした前の住人なだけ。
目覚め最悪。
だけどこの夢を見て以来、スズメは現れなくなった。
夢の中の通り、私はスズメ追い出し作戦に勝ったのだ。
だけど全然気持ちの良くない勝利。
ほんとごめんよ・・・だけど一緒にベランダで共存はできないんだよと心で唱える。
8ヶ月という長きに渡った戦いも、スズメ害鳥対策にはガムテープとネットが1番有効という記録。
それから1ヶ月。
うちのベランダにやってきて騒がしく鳴いていたチュンチュンの声は遠くの方でしか聞こえなくなった。
次はいつネット外すのか問題。
スズメの平均寿命は約3年らしいので、何度もしつこく執念で入ろうとしていたあのスズメちゃんは、もしかしたらうちのベランダで去年生まれたスズメだとしたら。
あと2年は外せない。
ただでさえ引きこもりなのに、カゴの中の鳥状態。
ベランダ全面に網とか。
ベランダの網の外側には自由に飛び羽ばたくスズメたちが見える。
静けさは取り戻せたけれど。
なんだかなぁ。
今度は自分が、まるで誰かに飼われているような気分。
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