転職30回以上に専門学校中退3回もすると、過去の知り合いの中に成功した人たちなどが、ネットで見かけてしまうことがある。
高校を卒業し、調理の専門学校卒業後に板前修業するために私が就職した日本の3大懐石と言われた店の1つ。
30人近い男性しかいない厨房に、女一人しかいなかった。
体力と力の差をまざまざと見せつけられ、挫折。
身体壊して1年で退職した板前の世界。
あれから約20年。
1年くらい前に何となく知った。
当時同期だった1人が、その本店の料理長になっているということに。
あれから20年、私は何度も何度も転職を繰り返し、学校に入っては辞めても繰り返し。
その間、彼は1度も辞めることなくずっと同じ懐石料理屋で修行を続けていたのかという、そのブレない芯の強さにただ心の中で、尊敬の眼差しを向けた。
料理人の世界は本当にキツい。
体力という面だけでみても誰でもできる仕事だとは思わない。
ましてや20年もなんて。
自分の店ならまだしも。
20年という長い年月からすると、一緒に働いた時間なんてきっと彼にとったら一瞬。
覚えてなんていないだろうと思う。
10年くらい前にも私を指導してくれていた先輩がNHKのドキュメンタリーみたいな番組で取材インタビューを受けていた時も驚いた。
私、素晴らしい職人の世界を見せてもらっていたんだなって。
今頃になって知った。
そして先日、なぜかYouTubeのオススメに見たことある人が出てきた。
それは忘れもしない。
30歳過ぎてから通った専門学校で、2つ目に通った夜間クラス。
クラスは6〜7人程度。
その中には高校卒業して間もない中国人の男子がいた。
カタコトの日本語で、いつも1番前の真ん中の席なのに、後ろの子に話しかけて喋っていたり、授業内容がわからないから質問するというより、日本語の意味がわからないから『センセイ、ソレッテドウイウイミデスカ?』という日本語の意味がわからないから質問するという日本語学校と勘違いでもしているのか?と言いたくなるその緩んだ態度にみんなが嫌気が差していた。
全員がとは言わないけれど、空気を読まないのが中国人。
いや、空気を読み過ぎるのが日本人気質なのか。
みんな陰ではウンザリした言動をしていたくせに、大人ぶって。
本人の前では普通に会話している。
そりゃ本人に授業妨害している自覚なんて芽生えやしない。
私の自律神経はおかしくなった。
1日中、イライラピリピリ。
こいつがいる限り学校に行きたくない。
授業に集中できない。
うまくいかない人生、全部人のせいにしていた。
夏休みを境に私は学校に行かなくなって、学費も払わなかったので自然退学。
あいつさえいなければと凝りもせず、別の学校に移った。
そもそも学校を通うということが私には無理だということに気がつくには、3回中退するまで気がつけなかった馬鹿だ。
未だに思い出すあの得体のしれない中国人のクソガキ。
顔も名前も忘れたけど、あの特徴的な喋り方だけは忘れない。
だけどそいつがYouTubeのオススメに現れた瞬間、すぐにわかった。
登録者数は13万人、1番再生されていた動画は130万回、インスタフォロワー60万人超。
この中国人のせいで私は学校に行けなくなったと言い訳にしていたが、私は完全に彼に負けたんだ。
勝手にひとりで振り回された気になって、中退して。
でも彼はちゃんとカタコトの日本語でも美容師免許を取って、イギリスに留学までにして。
オリジナルのヘアケアグッズの販売に本まで出版。
高級外車を乗り回し、ギラギラ金ピカの高級時計をインスタに載せて。
初めから気持ち的に完全に負けていた。
人に振り回されて生きている場合じゃなかった。
こういう人って、周りを振り回して生きようとすら思っていない。
こういう神経の図太い人間が心底羨ましい。
0時頃ベッドに入ったのに、その日はショックと動揺で、結局明け方4時半頃まで眠れなくなってしまった私の自律神経の弱さよ。
冷静さを取り戻しつつ、改めて動画と画像を見てみる。
なんだ、日本人らしい繊細さや手先の器用さ、品のあるデザイン性などには欠けるな。
今の私が何を言ったところで、負け惜しみにしか聞こえない。
それでも冷静に客観視して、分析してみる。
技術的にもそこまで優れている子ではなかった。
彼の勝因は、やったもん勝ちの“ふっかけ”だ。
日本人には行動力がないし、良くも悪くも謙虚過ぎるので自分は人に魅せるほどの技術じゃないんです〜なんて人が多いように思う。
大して技術もセンスも優れていなくても、個性と勢いと見せ方次第でどうにでもなる。
要は“やったもん勝ち”なんだなと、改めて気づかせてもらった。
上海人の彼の行動力に唸らせてもらった気分。
親もきっとお金持ちだったんだろうな。
未だに覚えているのが、1番前の真ん中の席に座っているというのに授業中堂々とアブトロニックを付けておちゃらけながら見せびらかしていた姿。
それを先生に注意されて授業が中断する。
舐め腐った態度に、いちいち腹を立てていたクソ真面目で馬鹿な日本人の私。
動画を見てて、あの頃と全く変わっていない喋り方に神経がビリビリしてきた。
だけど当時ほどの怒りというよりは、あぁどんな人間でも行動することで成功ができるんだなという気づきをもらった。
やるか、やらないか。
シンプルにこれだけなんだなと。
世の中、圧倒的に無意識に“やらない”を選択している人の方が多いように思う。
だから凡人であっても、スキルが大して伴っていなくても行動した人が成功できる。
勇気と行動力の大切さを改めて気づかせてくれた彼。
大嫌いな相手からでも、こういう学びをもらえるんだな。
私に足りない部分を持っている彼ら。
料理長になった彼は不動と貫ける忍耐と根性、会社を作った上海人の美容師くんは個性とキャラクター作り、ふっかけでもいいから魅せる力と図々しさ。
頑張ることもできなかった私には嫉妬や悔しいという気持ちすら芽生えない。
確かに料理の世界も美容の世界も、今も好きだけどプロとなるには挫折した世界である。
今は生きている世界も違うのに、比べることすらおこがましい。
ただ、自分が元いた別の世界で、努力の末に成功した人がたまたまネットで目に入って動揺したんだわ。
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